ライバルの動向・バレンシアvsセビージャ~ポジションチェンジの機能美とシステムの噛み合わせ~

バレンシアの選手の動かし方が面白かったのでメモ書き。継続して見てもいいかもしれない。フォーメーションの機能美。それは、ユヴェントスレアルマドリードと同じような選手の動かし方をする。僕の本家のブログを読んでいる方はわかってくれていると思うが、僕はマドリディスタである。マドリーが如何にして勝てるようになるかが重要なテーマなのだ。この試合はそのテーマにおける格好の研究材料になった。
試合は5位のバレンシアと4位のセビージャ。CL圏内争いでの重要な闘い。リーガは勝ち点で並んだら当該対決の成績で順位が変動する。リーガ3強がコケる可能性が少ないことを考えると非常に重要な一戦になる。
試合自体はテンションの高いものとなった。お互いがハイテンションでぶつかるフィジカルコンタクトの多い試合になった。そのため、ファールで試合の流れが止まることの多い試合となった。試合の流れを落ち着かせないのが狙いだったようだ。トランジションのスピード対決。この部分では両チームは互角であった。
前半にPKが4つもある荒れ試合に。試合の流れを決定づけたのは、ジエゴ・アウヴェス。PKストップで前半をリードすることに成功したバレンシア

後半に入り、試合のリズムが少し落ち着いてくる。そうなってくると、ボールを持つことができるバレンシア。システムチェンジにより、ボールを保持する。ボールを保持する前はセビージャの4ー4ー2気味の形としっかり噛み合っていたフォーメーション。それをズラす。

守備時にバレンシアは4ー4ー2にセット。攻撃時には3ー5ー2で攻撃を構築していた。
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まずは、ハビ・フエゴがディフェンスラインに落ちるお馴染みの形。相手の2トップに対して、3CBでビルドアップする。攻撃の起点は両翼のパレホとアンドレ・ゴメス。彼らが自由にボールを持つとき、バレンシアはらしさを発揮する。そのために、後方を自由にする。DFラインにプレッシャーがかかっていれば、連動したプレッシングを彼等にかけられるからだ。
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自由を得たパレホとアンドレ・ゴメスがボールをもったら攻撃がスタートする。この攻撃の仕組みは、コンテのユヴェントスと同じような仕組みをしている。WBを誰が見るんだ?問題である。ロドリゴとネグレトはサイドにバイタルに幅広く動く。そのため、SBを釣り出したら、サイドに流れるし、中央が空いていればバイタルでボールを持つ。
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仕上げは、連動してスペースに抜け出す。FWとインサイドMFとWBが連動してポジションチェンジを行う。この動きは4ー3ー3のレアルマドリードのものと同じような仕組みになっている。
バレンシアの三点目はサイドに流れたロドリゴからバイタルエリアに侵入したハビ・フエゴから生まれている。
キープレイヤーは中央でのポジションを移動しているハビ・フエゴとエンソ・ペレス。ボールポゼッションの逃げ場、サイドチェンジ要因としてパスを振り分ける。彼等がいるから、パレホとアンドレ・ゴメスは捕まりにくい。守備時にはファーストディフェンスとして、中央のスペースを守ることで効いていた。攻守の要。
後は前線の枚数問題か。時々、前線に人がいなくなる。元々、中央に人がいない設計になっているので、ボールを前進させてもゴール前に枚数が足りない現象が起こる。レアルマドリードはエンソ・ペレスのポジションの人を減らして、CFを固定した。それが昨年の4ー3ー3の仕組み。ハビ・フエゴの役割はシャビ・アロンソが行っていた。また、サイドアタッカーが優秀だったため、サイドチェンジからの攻撃が強烈だった。
今年、マドリーが苦しんでいるのはこの部分。エンソ・ペレスのポジションでプレーしたいクロース。そのため、CBが相手のプレッシングで苦しむ場面が目立つ。前線を1枚削り、後方を増やせば、クロースがピルロワークをこなすことができる。ただし、前線のFWの枚数問題がまた、浮上してくるわけだ。バイエルンミュンヘンは、3CBを導入したのはこのためだと思われる。ピルロワークをシャビ・アロンソがこなし、中央にレヴァントフスキーという中央に圧倒的なCFを補強した。
ボールポゼッションを高めることが出来れば、相手の攻撃機会を削ることができるので失点は減る。攻撃の形を整備できれば、守備の準備が整いやすい。ポゼッションしながら攻撃するメリットはそこだろう。逆に攻撃のポイントは素早くしかけることにありそう。ゴールへの逆算。得点力を高めるには、何処でボールを奪うかの設定が重要そうだ。セビージャはボールを奪う位置の設定、奪ったあとの攻撃構築は良かった。しかし、バレンシアのボトムチェンジにはついていけなかった。それが差になったのだろう。