CLの挑戦・バイエルンミュンヘンvsシャフタールドネツク~グアルディオラから学ぶゾーンの崩し方~

歴史は繰り返されるのだろうか?ドイツのチームにブラジルのチームが大差で打ちのめされる。スコアの7という数字でブラジルW杯を思い出さなかった人はいないだろう。シャフタールウクライナのチームにも関わらず、その多くをブラジル人が担っている。これらは、偶然なのか?必然なのか?
試合自体は、開始3分でシャフタールが一人退場になりPKでビハインドを負うという大味な展開に。審判が少し過剰に演出してしまった感は否めない。シャフタール側は文句を言いたくなるだろう。僕はその判定についてとやかく言うわけではない。もし、退場者が出なかったらというたらればを言ってもしょうがない。現に退場者は出てしまっているのだ。シャフタールに残された選択肢は少なかったのだ。そこで試合の展開もバイエルンがひたすら攻撃に出る展開になり、シャフタールはただ無慈悲にやられることになるのは必然ですらあった。そこには戦術的なものは存在しない。そこについて語ってもどうしょうもないのだ。だったら何を拾うか?僕が非常に興味深いと思ったのは、ロッベンリベリーの位置である。通常と違うどころかスタートはインサイドMFとしてプレーしていたのだ。そこには何の狙いがあったのか?グアルディオラの実験から、DFの崩し方を考えようと思う。
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中央を固める相手をどう崩すべきか?それは、現代サッカーにおける至上命題になりつつある。ゾーンディフェンス、中央圧縮型に如何にして対応するか?キーワードはサイドへのボールの循環である。
シャフタールは4ー4気味にブロックを固めてきた。
スタートはこのような布陣になっていた。ゲッツェとレヴアントフスキーの位置ら逆のパターンでスタートしていた。ゲッツェの0トップみたいな形。それでもゲッツェを左に置いて書いたのは、その方が議論が進めやすいからだ。現にゲッツェは主にサイドに流れてチャンスを作っていたのだ。
バイエルンの通常の選手配置は下の図のようになるだろう。
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中央圧縮型の4ー4ブロックはとにかく中央のスペースを埋めてしまうことに利点がある。バイエルンのパスルートは2つ、中央からとサイドから。しかし、どちらもスペースがない。ロッベンのカットインに対して、中央に人を多く配置する。ゾーンの隙間でボールを持とうとしてもCBとSBに潰される。
ならば、裏へのスペースに走り込ませることで無理矢理にスペースを作る。
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これでブロックを崩せるわけだ。問題は、ロッベンリベリーのドリブルの破壊力を活かせない点にある。
だったら配置を逆にすればいい。大事なのはポジショニングとスペースへのランの役割をしっかりと守ることだ。
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バイエルンの狙いは明らかであった。SBのうらのスペースである。ゲッツェミュラーがインサイドでボールを持てるようにこのSBの裏のスペースを確保するのが最重要項目になる。ビルドアップのスタートはSBが担っていた。シャフタールの対面のSBはゲッツェミュラーを見なければならない。
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裏に飛び出したロッベンリベリーはそこからサイドを切り崩すことができるプレイヤーだ。誰かがつかなければならない。CBが空いたらレヴアントフスキーが。DMがついてきたらアラバがバイタルエリアでボールを受ける。
ゲッツェミュラーが中央に移動した際は、サイドの横幅はSBの選手が作る。
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ミュラーが空けたスペースにはラフィーニャが、ゲッツェがいたスペースにはアラバが移動する。SBのいたスペースにはロッベンリベリーが落ちてくる。彼らが攻撃のスタート地点になる。昨年のレアルマドリードでのモドリッチとディマリアと同じ動き。ここにドリブルで相手を突破できる、ボールを運べる選手を置く。メリットは相手のプレッシングを単独でかわせること。相手を引き付けて、中央からの打開。
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ゲッツェがCBを引き付けると中央にスペースが空く。そこに走り込むのはリベリーバイタルエリアからのカットインで相手を崩すのであった。
ファーストレグを見ていないので、何故グアルディオラがこの布陣にしてきたのかはわからない。だがシャフタールへの苦戦から選手配置を変えてきたのは間違いないだろう。このポジショニングが続くかどうかでグアルディオラの狙いがわかるだろう。
と思ってたら、ロッベンリベリーも負傷交代してしまったのでグアルディオラの真意は謎のままになるのであった。

ポジショニングとスペースメイキングにはある程度のパターンがやっぱりあった。バイエルンを見ると、その選手のポジショニングと動かし型がはっきりと出ている。ゾーンの隙間にポジショニング、マークを外す→相手のSBの裏という形はどの選手がいても変わらなかった。連動したオフザボールの動きはかなり勉強になったし、面白かった。