CLの挑戦・ローマvsバイエルン~グアルディオラの3ー4ー3への再チャレンジ~

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ちょうど、このブログでグアルディオラ以降のバルセロナを考えるという企画をやっていた。グアルディオラの理想を考えるために、バルセロナの変化を見てきた。過去の試合を焼き直ししていたわけだ。そんな企画にはおあつらえ向きな試合である。グアルディオラのチームのフォーメーションは分かりにくい。誰が何処にいるのか?役割は何なのか?見失いやすい。そこでバルセロナ的解釈をすると見やすくなる。分かりやすくなる。今回はそういった企画になっている。この記事が誰かの理解に役立ててれば幸いである。

圧倒的な強さを示したバイエルンミュンヘン。実験を続けるグアルディオラ。そのチームの姿はかつてのバルセロナにそっくりであった。違いがあるとすれば、いる選手が違う。バイエルンミュンヘンには、メッシもシャビもイニエスタもいない。その変わり、ロッベンリベリーに、レヴァントフスキーがいる。サイド攻撃で試合を破壊する選手に、現役最高峰のストライカーだ。それは昔、バルセロナに欠けていたものであった。グアルディオラの望みはただ一つ。完璧に近づくこと。未完成に終わった3ー4ー3の完成を目指す。
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両チームのマッチアップを簡単にまとめてみた。ローマが守備時に4ー4ー2のゾーンで守るのは周知の事実だろう。そうなると大体このようなマークになる。なお、立ち上がりのローマの攻勢はイトゥルベがFWの位置に上がり、3トップで3CBにプレッシングをかけたことから始まっている。ボールを保持したいバイエルンは、形を変える。マッチアップを変更する。ローマのマークを狂わせる。
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アロンソは3CBを助けるためにアンカーの位置に。ゲッツェミュラーが下りてきて、ラームと共にゾーンの隙間にポジショニングする。ゾーンの隙間とはMFの間のスペースのことをいう。ベルナット、ロッベンは高い位置にかけ上がる。
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ロッベンとベルナットのマークがトロシディスとアシュリーコールに入れ替わっている。逆にゲッツェミュラーは誰が見ればいいか非常に曖昧なポジショニングに位置している。注目すべきはイトゥルベとナインゴランがマークを見失っている点である。グアルディオラの狙いは中央での数的優位を作ることにあった。そして、この形はバルセロナの3ー4ー3にそっくりなのだ。ラームがシャビ、ゲッツェイニエスタミュラーがメッシの役割をしている。
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中央での数的優位を作れば、後はパスを回すだけで相手が崩れる。アロンソデロッシがプレスに行けば、ラームがフリーに。ピャニッチがスライドしてもミュラーがフリーに。中盤の圧倒的数的優位を活かして、ローマの陣地を越えていく。
中央を固めて、数的同数を揃えることも考えられそうだ。ゲッツェをイトゥルベが見るパターンである。そうなれば、アラバが後方から上がってくる。3CBにしている理由がここにある。ベナティアとアラバの役割は後方からの攻撃支援であると共にスペースを埋めることにある。昨年はこのスペースに選手がいなかった。そのために、レアルマドリードのカウンターに屈した。グアルディオラはしっかりと対策を練っていた。中央を固めた際の後方支援では、アラバはサイドバックとして振る舞う。ベナティアとの連携でPKを獲得したシーンはそれを象徴した場面であろう。
ではゲッツェとラーム、ミュラーは誰が見ればいいのだろうか?
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それを見させないために、ベルナットとロッベンの配置であった。レヴァントフスキーが中央に配置されているのはDFとMFの間のスペースを作るためである。バルセロナでのビジャの役割を思いださせる。勿論、マークにつかなければラーム、ゲッツェがフリーでボールを運ぶ。そうなれば前線でも数的優位ができる。プレスに行くのに、ズレが生じる。その時間差を利用して崩す。ゲッツェとレヴァントフスキーのドルトムントコンビの連携にミュラーを絡めたものは強烈だったし、ラームとロッベンのサイド突破は相変わらずの破壊力だった。
まだ終わりではない。グアルディオラはDF面でもしっかりとしたローマの対策をしてきた。
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ローマのビルドアップの数とバイエルンのプレッシングの枚数がピッタリ一致している。ローマはボールを繋ぐこともままならない。これがミュラーがこの位置で使われている理由だろう。守備時にはミュラーとレヴァントフスキーの2トップになって、ローマにプレスをかける。

昔のバルセロナにはサイドを単独で崩せる選手がいなかった。バイエルンには、ロッベンリベリーがいる。バルセロナだったらテージョやクエンカである。ストライカーも圧倒的なポテンシャルを持ったレヴァントフスキーがいる。ビジャやアレクシスにはない高さがある。3CBの人材難もあった。バイエルンには現在、ダンテ、アラバ、ボアテング、ハビマルティネス、ベナティアがいる。ということで、バルセロナの時の課題を全てクリアしつつあるグアルディオラ。これに、シュヴァインシュタイガー、チアゴアルカンタラがいるのだから末恐ろしいチームである。バルセロナとの違いは、インテリオールにサイドバックの選手を起用している点だろうか。後半にはアラバもこの位置で使われている。最期にバイエルンのベストメンバーを考えて終わりにしよう。
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