セリエの冒険・ナポリvsローマ~4ー2ー3ー1vs4ー3ー3ビルドアップの違い~

セリエA上位対決。CLがないナポリとCLでボコボコにされたローマ。目指すは打倒ユベントス。そんな両チームの一戦は思いもよらぬ、大差がついてしまう。結果だけではない。注目すべきは、ローマがほとんど効果的にボールを運べなかったことにある。何故ローマはボールを運べなかったのか?
f:id:real714:20141124072204p:plain
ナポリの守備時の布陣である。基本中の基本。4ー4ー2のゾーンディフェンス。ナポリ監督のラファエルベニテスの十八番である。ハムシクはケイタを見ることが多かったので、実質4ー4ー1ー1である。ローマのビルドアップの仕組みは、中盤の三枚がボールを持つことにある。そこからの数的優位でボールを前進させる。ならば彼等にボールを渡さなければいい。
f:id:real714:20141124072319p:plain
ナポリの狙いは、ハムシクイグアインで絶えず、マノラスとヤンガンビワにプレッシャーをかけることであった。ローマが支配したいスペースはFWとMFの間のスペース。そこの距離を狭めることで、ナインゴランとピャニッチを封じる。
f:id:real714:20141124072411p:plain
ポイントは献身的に守備に参加するFW。彼等がボールホルダーを追い込むことで、ボールカットの確率を上げている。FWとMFとDFのそれぞれのライン間がしっかり統率されているので、コンパクトになっている。
ローマの攻撃が必ず中盤経由なのに対して、ナポリの攻撃は必ずSB経由であった。この違いは面白い。CB→SBルートでのパスルートで前進する。
f:id:real714:20141124072509p:plain
相手のサイドMFがプレッシャーをかける前に、インシーニェもしくはカジェホンにパスを通す。彼等はハムシクにパスを通すのが狙いである。もう少し詳しく見てみよう。
f:id:real714:20141124072655p:plain
サイドMFの役割は、相手のSBから離れるようにしてボールを受ける。そうすることで一瞬フリーになる瞬間を作る。カジェホンはサイドに位置していることが多かったが、インシーニェは内側でボールを貰う動きをしていた。彼の得意なプレーはカットインしてシュートするパターンだからだf:id:real714:20141124072756p:plain
インシーニェを止めたいトロシディスは、当然フリーでボールを持たれないように、マークに行く。そうしたらハムシクをSBの裏に走り込ませる。
f:id:real714:20141124072908p:plain
CBを釣り出したら、そこにサイドMFが飛び出してくる。元レアルマドリードコンビのイグアインカジェホンの得意なプレーだ。それでも相手がついてくるようなら、SBの攻撃参加で厚みを加える。


ローマはデロッシがいればもう少し変わっただろう。3バック式ビルドアップでハムシクの横のスペースにCBを攻撃参加させてればもう少し変わったはずだ。試合はナポリの一方的な展開に。イグアインのラッキーなゴールで先制すると、キレキレのインシーニェがひたすらローマの守備陣をかき回し続ける。前半にローマがほぼノーチャンスだったことを考えると、ベニテスのゲームプランが完璧だったことがわかる。
ナポリの攻撃の際の選手の動き方が機械的に、徹底されていたのが印象に残った。それは守備の際もだ。システマチックなチーム作りはベニテスの十八番である。4ー2ー3ー1という布陣はサイド攻略のためのパス回しのために、効率よく選手を配置したシステムなのだと感じた。モウリーニョのマドリーもそうだった。そこら辺をもう一度考えたい。