CLの挑戦・ポルトvsバイエルン~飛車、角落ち・ロベリー欠場の影響~

ジャイアントキリング。伏兵ポルトが、優勝候補に一泡吹かせることに成功した。注目点は、ポルトが攻守においてバイエルンを圧倒したことだ。バイエルンはボールを上手く繋ぐことが出来ず、ボールを上手く保持できなかった。グアルディオラのチームは、ボール保持からのボールの前進に優れたチームであることは、周知の事実である。今日は、何故バイエルンがボールを運べなかったかに焦点を当てていこうと思う。
守備組織を見るときに大事になってくるのが、何処でボールを奪うかの設定である。同時に何処かを必ず捨てなければならない。サッカーの広いフィールドを全てカバーするのは不可能だからだ。
f:id:real714:20150423210221p:plain
ポルトの出した結論は、バイエルンのインサイドMFにプレッシャーをかける+インサイドのスペースを管理することであった。チアゴ・アルカンタラとラームにボールを持たせない。彼等がボールを持ったとき、が激しいプレッシングをかける。同時に捨てなければならないスペースがある。それはアンカー、カゼミーロの周りのスペースである。しかし、バイエルンはそこのスペースを有効活用出来なかった。バイエルンロッベンリベリーが怪我で不在であった。どうやらそこと関係がありそうである。
f:id:real714:20150423210451p:plain
中央にボールを通すセオリーは、サイドに一度ボールを循環させることである。ポルトが中央を遮断しているので、それしか手段がない。シャビ・アロンソ、チアゴ、ラームを徹底的に潰すことで攻撃をサイドに誘導する。
ポルトは、自陣では4ー1ー4ー1で守備をセット。ジャクソンマルティネスは、シャビ・アロンソを見る。両WGのブラヒミとクアレスマは、両SBを見る。両SBは、ミュラーゲッツェがボールを持ったらプレッシング。
f:id:real714:20150423210849p:plain
今日は、ロッベンリベリーがいないのでカットインからボールを運べない。よってインサイドMFにボールを届けるしかない。SB→サイドMF→トップ下の循環。そこはカゼミーロが潰す。アンカースライドで対応。そうなるとインサイド→SBの裏抜けがある。グアルディオラの頭の中にもそのプランがあった。
f:id:real714:20150423211350p:plain
SBを高い位置に置ければ、ゲッツェミュラーのSBとCBへの裏のスペースをつく動きで打開出来る。所謂、ペナ角侵入である。サイドの横幅をSBが作る動きである。そのためには、ポルトを押し込む必要がある。SBのスペースに誰かをビルドアップのスタート地点に置く必要がある。オーソドックスなやり方だと、アンカー落としのCBが高い位置を取るやり方である。グアルディオラの頭の中には、このプランがあった。選手たちも、そう考えていた。しかし、それをさせないポルトであった。
ポルトのボトムチェンジ対策
f:id:real714:20150423211543p:plain
SBを高い位置に置ければ、ゲッツェミュラーに裏抜けとインサイドの起点作りに回せる。そのためには、ポルトを押し込みつつ、サイドに起点を作る必要がある。SBの代わりにビルドアップをする選手が必要になる。後方でボールを落ち着ける方法として3CBでのビルドアップがある。ボランチを落として、相手のプレッシングを外す手法だ。
f:id:real714:20150423211634p:plain
それをさせないポルトだ。3FWが相手のCBにプレッシャーをかける。SBには連動してこちらのSBをぶつける。全体のラインを上げることで、スペースを圧縮し、バイエルンの前線を潰す。
f:id:real714:20150423211854p:plain
唯一ボールを持てるのは、ノイアーであった。バックパスからノイアーのロングボールで打開を狙う。狙いは相手のDFラインを下げること。コンパクトな相手の中盤を間延びさせることだ。相手の頭上を越えるロングフィードでボールを運ぶ。しかし、そんなのは計算済み。ポルトのDFラインは南米のフィジカルモンスター達。レヴァントフスキーですら、太刀打ち出来ない。WGのカットインとインサイドMFの裏抜けが使えないことによる機能不全が主な原因であったのだ。こうして、攻守両面でバイエルンを圧倒したポルトであった。
バイエルンのウィークポイントをしっかり考えて対策を練ってきたポルト。対策の対策はグアルディオラの得意技である。完成が遅くなり、2ndLegの結果が出てしまった。前半でポルト攻略に成功したバイエルン。この試合から考えたグアルディオラポルト対策とはどういったものだったのだろうか?この試合がヒントになるかもしれない。