グアルディオラ以降のバルセロナを考える・メッシの0トップについて~2013/2014国王杯決勝~

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バルセロナはどうして機能しなくなったのか?前回発見したのは、マンマークによってサイド攻撃を機能させなくしたものであった。要は何処までもついていくことによって、フリーでボールを持たせない。フリーの選手を作らせない方法論だ。マッチアップを固定して、ゾーンで守るやり方であった。その結果、パリはバルセロナのサイド攻撃を封じ込めた。バルセロナはマテューの攻撃参加から数的優位を作ることで状況を打開しようとする。しかし、それはパリのカウンターの罠だったのだ。

マンマークでマッチアップを固定されたゾーンへの対抗策は、数的優位を作ることによるスクリーンプレーである。要は味方に時間を与えてあげるわけだ。f:id:real714:20141016080132p:plain

ブスケツとシャビでレアルマドリードの1,5列目に対して数的優位を作る。ブスケツが上がり、シャビが下がる。これだけだとシャビやブスケツモドリッチアロンソのプレスがかかる。そこでメッシがシャビのいたポジションに下りてきて、マドリーの2列目を攻略する。中央の数的優位を利用してボールを運ぶことができるのだ。連動したポジションチェンジでマッチアップを変更する。グアルディオラバルセロナの得意技である。
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4ー6ー0のゾーンディフェンス。始まりはチェルシーバイエルンミュンヘンと続き、アトレティコで完全態になった。バイエルンミュンヘンの場合少し状況が違う。それは次回にしよう。
とにかく、シメオネから方法論をパクったアンチェロッティ。その肝は、中盤での数的同数にある。中央に4枚集まるバルセロナに対して、前線の選手がかなり低めに守ることで数的同数を揃えた。ブスケツ、シャビに対して、ベンゼマ、ベイル。メッシ、セスクに対してシャビアロンソモドリッチだ。
これでは中央からボールを運べない。誰がボールを持ってもすぐにプレッシャーがかかるからだ。ゾーンディフェンスは人に依存しない。守るべきは、人ではなくてスペースだ。バルセロナの選手がどれだけ動いても、ポジションを変更しない。
バルセロナは中央からの強引な突破が最大の武器だ。しかし、中央が完全に封じられた今必要なのがサイド攻撃である。そして、マルティーノはしっかりとした手を打ってきた。
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これが本当の0トップである。CBが本来見るべき、マークを見失っている。メッシがここまでエリアから離れたら、セルヒオ・ラモスもついていけない。本来いない選手が急にエリアに現れるとそこで起きるのは数的優位な状況である。バルセロナの交代はセスクからペドロ。ペドロは、コエントランを惹き付けつつ。センターバックの移動に合わせて中央に侵入する。仕組みはレアルマドリードの0セントラルと全く一緒だ。ゾーンディフェンスはボールホルダーの位置によってポジションが決まる。弱点は、ボールホルダー以外の選手についていけないことにある。

では本題に入ろう。何故、これを最初からできなかったのか?やろうとしなかったのか?ここにバルセロナが勝てなくなってきた理由がある。ヒントは、決勝点になったベイルのカウンターとディマリアの先制ゴールである。印象的だったのは、バルセロナの攻撃のスイッチが入ると同時にレアルマドリードのカウンターのスイッチも入った点にある。パリもマテューの攻撃参加をさせることで、ルーカスモラウのカウンターをしていた。どうやらカウンターを喰らい続けた後遺症がまだ残っているようだ。
マルティーノのバルセロナは、連動したポジションチェンジをベースにしていたようだ。マッチアップの交換により、スペースを作り出す。メッシは偽FWであった。逆にメッシの0トップはあまりやらなかった。次回は、ビラノババルセロナでそれを考えていきたい。バイエルンミュンヘンもしくはモウリーニョレアルマドリードだ。