セリエの冒険・ナポリvsユヴェントス~両チームの差はどこにあるのか?~

継続して見ているマドリーと違って、こちらの試合はビックマッチ、もしくは発見があった試合が中心になる。継続して見ている試合の場合、些細な変化を見逃さないように心掛けている。それがたまることでプレーモデルが大きく変わるのは、往々にして良くあることだからだ。逆に継続して見ていないチームだからこそ、大きな発見があることもある。こういう構築もありなんだとか。駆け引きの部分。チーム自体の問題点より、新しいものを見る新鮮さがある。それが面白い。
ナポリvsユーベはそういったビックマッチの1つだ。幸運なことに、この2チームは何度か見たことがあるので他のチームよりは馴染み深い。試合は、正面衝突。駆け引きもあったが両チームの良さが目立った前半と戦術的であった後半。その理由はなんだったのか?
セリエは2強時代と言われていて、ユーベとローマが熾烈なライバル争いをしている。試されるのはナポリ。タイトル争いに加われるか?これはその登竜門である。ナポリスクデットを狙う資格があるのか?


■ボールを何処で奪うか?
ボールを持つユーベと待ち構えるナポリ。どちらが有利になるかは、攻守の切り替えのスピードで決まる。ユーベは奪われた後に、すぐに守備を構築できるか。ナポリはユーベの守備が整う前に攻撃出来るかが鍵になる。トランジションのスピードは選手のポジショニングに依存する。立ち上がりはナポリが上手くボールを奪うことに成功していた。
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ナポリのDFはピルロを挟み込むようにしてブロックを作っていた。ピルロマンマークで試合から追い出すというよりは、パスコースを切る。狙いはサイドチェンジによる中継をさせない。真ん中でプレーさせないことが上げられる。そのため、マルキージオ、ヴィダル、ポグパが起点になる。彼等はナポリのFWとMFの間のスペースを狙っていた。
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ベニテスの狙いはこのスペースでボールを奪うことにあった。CBからのビルドアップからの縦パスを狙って、プレッシング。サイドチェンジを阻害していたのは、このためだ。サイドチェンジ→スライド→スライドされる前にパスという流れを遮断する。
それに対して動き出したのはピルロ。CBがプレッシャーを受けているなら、それを緩和しよう。
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ピルロが下がって3CBになるメリットは両脇のCBが高い位置を取れることにある。シャビ・アロンソがマドリーでこなしていた役割に近い。ナポリのFWの両脇からボールを運びたい→そこでフリーで持てる選手を配置。キエッリーニが高い位置を取ることで、エヴラが高い位置を取ることが出来る。サイドの数的優位を利用して、ボールを前進させるユーベ。そんな中、ポグパのスーパーなミドルで先制。
ベニテスvsアッレグリ
後半になるとカジェホンデ・グズマンがCBまで遅いかかるようになる。勝負をかけてきたベニテス。高い位置からのボール奪取と速攻がハマる。その分ユーベのカウンターが威力を増すようになるが、負けているナポリにとって大切なのは時間。自分たちの攻撃機会を増やすのを優先してきた。ハムシク→メルテンスでデ・グズマンをトップ下に。サイドからドリブルで切り込むメルテンスでチャンスを作るとコーナーから同点に追い付く。
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試合が動いたのはまたしてもセットプレー。カウンターからファールを貰うとピルロからカセレスでリードを奪う。ユーベに決定的な一点が入ると、アッレグリは手を打つ。4バックから3バックへの切り替えである。後半からは、ボールを持つナポリのビルドアップの特徴としてサイド→中央のボールの循環が上げられる。ならば、そのサイドのスペースを埋めてしまおうと。
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サイドで孤立したカジェホンと メルテンス。彼らが出来ることはクロスを上げることしかなかった。しかし、このクロスがなかなかの迫力であった。次々にチャンスを作るも、ノーゴール判定だったり、枠に飛ばない。最後はカウンターからモラタ→ヴィダルで止めを刺す。

アッレグリ監督になってから役割が多様化してきている。コンテの時は、役割が固定されていた。ビルドアップ部隊、裏に飛び出す選手、サイドのポジションチェンジ等だ。それがより色んな選手がこなすようになっている。ピルロがCBの位置に落ちたり、マルキージオ、ヴィダルがピルロの役割を行ったりしていた。多様化する役割で活きているのはポグパ、サイドに飛び出したりフィニッシュに絡むプレーが増えている。難しそうなのは、選手の連携と役割の共有。ここが曖昧になると全然機能しなくなりそう。4ー3ー1ー2にシステムチェンジしたのは、それをよりしやすくするためではないか?
ナポリとの差は相手への対応策。試合中に柔軟に形を変えていくユーベに対して、ナポリはハーフタイムを挟まないとプランを変更出来なかった。ただし、ナポリの基本に忠実な形は精度が上がってきている印象がある。型を変えないことで、スピードが上がっているのか?ベニテスのチーム構成はモウリーニョとも似てて、少しプレミアっぽい。このプレミアっぽさはもう少し試合を見て考えていきたい。