W杯の探求・スペインvsオランダ

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偶然にも、前回の決勝と同じ顔ぶれになった。オランダはだいぶ選手が入れ替わっている。対してスペインはたいして変わっていない。多くのサッカーファンの注目を集めたこの試合。試合内容もまた衝撃的だった。結果もそうだ。サッカーはやはり極上のエンターテイメントである。いつでもサプライズで満ちている。僕たちはそれを求めてサッカーを見るのだ。

オランダは5ー3ー2で試合に臨む。クライフが発狂しそうなフォーメーションだ。スペインはそれに対していつも通りの4ー2ー3ー1であった。いつもと違うのはジエゴコスタの存在か?
オランダの采配は、一見守備的な物ととらえがちだが、それは大きな偏見である。オランダの5バックはスペイン対策というよりも自分たちのやり方というところが大きいだろう。攻守両面にわたって効いていた。流石、ファンハールといったところか。
僕が思い出したのは2年前のユーロ、イタリアvsスペインである。オランダのビルドアップの工夫はイタリアのそれと酷似している。スペインと戦うチームが乗り越えなければいけない壁の1つとして、どうやってプレスをかわすか?ということがある。これが全世界にバルセロナのコピーをいっぱい作るキッカケでもある。プレスをかわさなければ効果的なカウンターを仕掛けることができないからだ。
イタリアが出した答えは3バックであった。これはユヴェントスのやり方とほぼ同じである。ピルロ対策に対してコンテは見事な回答を導きだしたのだ。
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オランダも守備時のときこそ5ー3ー2で守るが、攻撃時は3バックでビルドアップする。3バックでのポゼッションは後方から落ち着いてボールを持つことに繋がる。ただし、それは2トップの場合である。スペインはイニエスタ、シルバが高い位置にでることでプレッシャーをかけれる。しかし、そんなシーンは見ることはなかった。ポイントはウイングバックの位置である。仕組みはユーロのイタリアもそうだったし、ユヴェントスピルロシステム構築も一緒である。サイドバックが見るのが正しいポジショニングになるが、ロッベンがサイドに流れることでサイドバックを牽制することができる。その結果、オランダにボールを持たれることになるのだ。
では5バックにする意図はなんなのか?元から3バックにしとけばいいじゃないか?となる。その答えこそ、第2関門である。どこでボールを奪うかだ。ユヴェントスの3バックは高い位置からのプレッシングが狙いだが、今日のオランダはそうではない。狙いはスペインの中盤を破壊することである。
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5バックであれば1人がプレッシングを中盤にかけに行っても、人数が4枚のまま守れる。これは非常に大きい。僕がセリエの試合を観ていて気づいたのは、4枚ブロックの安定感である。それはサイドへのスライド、カバーリングの面でも非常に理に敵っている。ということで、センターバックから中盤にプレッシングをかけることで中盤のスペースを圧縮しようと考えたオランダであった。ボールを受けようとするジエゴコスタにどこまでもついていく。通常であれば空いたスペースをイニエスタやシャビ、シルバがつける。しかし、そのスペースがない。



それでもスペインはオランダを押し込む。シルバが逆サイドまできてようやくボールを落ち着けるようになる。流石王者といったところか。この臨機応変さは凄まじい。空になった右サイドはアスピリクエタが頑張る。
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後半になるとデルボスケの修正が入る。これが結果的には両チームの明暗を分けることになった。3バック誰が見る問題について、デルボスケの回答は3トップであった。イニエスタ、シルバ、ジエゴコスタの3人で3バックにプレッシングをかける。じゃあ、ウイングバックはどうするんだ?そこにはそのまま、サイドバックを当ててきた。マッチアップは噛み合ったようにも思える。ただし、これはあくまでも机の上の話だ。





デルボスケの采配により、オランダは前半よりボールを持てない展開になりました。しかし、これは結果論になりますがオランダの攻撃のスイッチを入れることになります。中盤の攻防から、スナイデル→ブリント。ブリントからのロングボールでロッベンに崩されてしまいます。そこから先はカウンターの嵐です。オランダは更にプレスをかけて試合を終わらせにきました。」

シルバのループシュートが入っていれば、流れは変わったかもしれない。
5ー1。このスコアを受けてスペインがどうするか?とりあえず、このガードは是非もう一度見てみたい。デルボスケはどう修正するのだろうか?
ジエゴコスタは思ったより、スペイン代表に馴染んでいた。中盤に下りてきてのポストプレー、スペースへの飛び出し。あとはゴールだろうか。