W杯の探求・イタリアvsイングランド

f:id:real714:20140619073746j:plain
イタリアと言えばカテナチオイングランドと言えばロングボール。そんなイメージを払拭するような試合になった。また両チーム共にクラブチームの色合いを濃くしたようなチーム編成になっている。イタリアはユヴェントスイングランドリバプール。代表チームで手っ取り早くコンビネーションを固めるために、1つのクラブから核をそのまま持ってくることが日常的に行われている。まあ、当然いない選手がいるわけで、そこで代表の色は変わってくる。


■イタリアのトリプルレジスタ
イタリアは中盤の三枚を全員、ボール回しに特化した選手で組んできた。意外だったのは底をデロッシが務め、その前にヴェラッティとピルロが並ぶ形にしていたことだ。イタリアの狙いは相手フォワード周りを支配することであった。FWの横のスペース。FWとMFの間のスペースから組み立てることでポゼッションしようという作戦である。
f:id:real714:20140619073853j:plain
「イタリアのビルドアップは、ローマと同じような形です。サイドバックを上げて、空いたスペースをレジスタたちに使わせます。デロッシは中盤の底からパスを配り、ピルロとヴェラッティで前線にボールを繋ぎます。そのため、センターバック二枚と中盤3人で計5枚のビルドアップ隊になっています。これを防ぐのは結構しんどい。ピルロのマークをどうするか?これはイタリアの対戦相手の課題なのですが、これは流石に防げないでしょう。面白かったのはこの3人の動きです。3人が回転するようにポジションを変えるため、非常に捕まりにくい仕組みになっています。1人がFWとMFの間、1人がFWの横のスペース、そしてもう1人FWの間のスペース。このようにぐるぐる回って必ずフリーの選手を作るようにしていました。」
f:id:real714:20140619073939j:plain
「イタリアはシステムこそクリスマスツリーでしたが、攻撃構築はユヴェントス式でした。マルキージオとカントレーヴァは相手のMFとDFの間のスペースにポジショニング。そこから裏に飛び出すことでスペースを作っていました。」
f:id:real714:20140619074040j:plain
イングランドの進化
イタリアが集団でボールを運ぶのに体してイングランドは個人でこじあける。中心はウェルベックスターリッジスターリングだ。彼らがポジションにとらわれない自由な動きでイタリアの守備をかき回す。ポイントはサイドMFの間にポジショニングすることだ。イングランドのビルドアップはイタリアのポゼッションに比べると正攻法のサイドアタックである。ジェラード、ヘンダーソン経由でサイドバックを高い位置に持ってくる。
f:id:real714:20140619074139j:plain
ウェルベックスターリング、スターリッジがフリーでボールを受ける。そこからの ドリブル突破で状況を打開しようとする。前半はルーニーがここに上手く絡めなかった。とはいっても、同点弾をアシストしてしまうのだから流石ルーニーといったところか。こういった形は今までのイングランド代表には見られなかったものだ。しかし、イングランドについてポジティブな面は以上である。残念ながら、ヘンダーソンとジェラードが効果的な動きを見せたわけではなく、交代で入った選手によって変化がでるわけでもなかった。課題はルーニーの位置だろうか?ボランチにも誰を起用するか悩ましいところだ。今のところは前線四人、中盤二人、ディフェンス四人とバラバラになっている。全員が組織的に動けているか?と聞かれればうーんとなってしまうわけで。ウェルベックスターリング、スターリッジの3トップとかやってみれば面白そうではある。

イタリアの得点はサイド攻撃から、イングランドはカウンターからと両チームらしくない展開であった。イタリアは前線に誰を起用するかでサッカーの内容を変えられそうである。バロテッリの動きはなかなか面白かった。前線で体を張ることもできるが、ディフェンスとMFの間でも活動できる。
一方、イングランドはまだ完成形に至ってないといった印象。次のウルグアイ戦までに間に合うのか?たとえ、間に合わなかったとしても若手は結構いい選手が育ってきてはいる。今後の代表は上手く立ち直れるだろう。