W杯の探求・フランスvsスイス

今大会はヨーロッパサッカーファンにとっては受難の大会になりそうだ。なんといっても大本命のスペインの脱落は、僕達にとってあまりに衝撃的過ぎた。イタリアの敗北、イングランドの敗退も続いて頭を抱えてしまう。特にマドリディスタである僕にとっては受け入れがたい現実である。だが、落胆するにはまだ早い。フランスのサッカーが面白い。これは数少ない希望である。ベンゼママドリディスタの唯一の希望なのだ。


そんなフランスは、スイスを一蹴した。得点数からフランスの決定力に注目がいくが、僕が注目したいのは守備力である。セットプレーから得点するとボールを奪っての素早いカウンターでスイスを陥れる。フランスの4ー3ー3はヨーロッパの最新の戦術を下敷きにしたものであった。

ヴァルブエナマテュイディ
フランスのキーマンはヴァルブエナマテュイディだ。ついつい得点を決めているベンゼマに注目が集まりがちだが、この二人がフランスの戦術の大半を担っているといっても過言ではない。
フランスの心臓は間違いなくヴァルブエナだろう。彼の役割はボールを運ぶことである。独特のボールタッチから密集地を潜り抜けるドリブルが絶品であった。正確なパスも兼ね備えている。ポジショニングは変幻自在、サイドから中央、中央からサイド、自由にボールを受けることを得意としている。攻撃の起点であり、リズムを変えることができる選手だ。
フランスの心臓がヴァルブエナであるならば、肺に当たるのがマテュイディだろう。
の守備範囲がとてつもなく広い。その守備はかつてのマケレレを彷彿とさせるものであった。攻撃面ではマケレレとは全く違った一面を見せる。高い位置まで進出し、フィニッシュに絡む。とにかく行動範囲が広く、フィジカルも兼ね備えている。テクニックも申し分ない。f:id:real714:20140622121050p:plain

ベンゼマのためのシステム
フランスは攻撃時は4ー3ー3。守備時は4ー4ー2気味に守る。これはレアルマドリードに見られた形である。バイエルンミュンヘンを破ったこの形の特徴は相手陣地と自陣での守備の形を変えれることが大きな特徴になっている。もう1つのメリットがカウンターの破壊力を上げることである。二枚のFWを残すことによって、カウンターの枚数を確保できる。FWの守備の負担を減らすことができる。
ロナウドの守備負担を減らすことと同じようにフランスはベンゼマを守備のタスクから解放した。
スイスは守備に戻らない、ベンゼマサイドから攻撃を試みるが、逆にカウンターを喰らうシーンが目立つ。
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この戦術を支えているのがヴァルブエナマテュイディである。マテュイディの広い守備範囲で左サイドをシャットアウトする。ヴァルブエナは守備にしっかり戻り低い位置から攻撃の起点になる。

かつてのジダンを活かし、W杯を制覇したのと同様にベンゼマを活かし、そこに活路を見いだしたフランス。ベンゼマは真のスターになれるのだろうか。
フランスの攻撃の時のメカニズムもなかなか面白そうだ。今回はあまりキャバイェについて見れなかったので次回はそこに注目してみることにしよう。