W杯の探求・ブラジルvsコロンビア~ボールを保持することとは?~

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ブラジルはコロンビアに対して、ボールポゼッションで挑んできた。これには、面を喰らった。何故なら、今までのブラジル代表とは違うからだ。おそらく、コロンビアもそうだろう。
コロンビアの長所は、サイドバックを使った攻撃構築にある。サイドで数的優位を作り、ボールを高い位置まで運ぶ。もしボールを奪われたら素早い攻守の切り替えでカウンターを防ぐ。この攻守の切り替えが非常に良い。ボールを奪えなくても自陣に撤退して、待ち構えることもできる。FWはフィジカルも強いため、カウンターではタメを作るのが主な役割だ。基本に忠実なボールポゼッションのチームだ。
反対に弱点はカウンターの鋭さにある。守備構築は比較的曖昧なため、ボールを奪ってから、効果的なカウンターを仕掛けられない。

フェルナンジーニョとオスカルの真の力
ブラジルのボールポゼッションに対して、苦戦するコロンビア。コロンビアは守備の構築が出来ていなかった。そのため、なかなか効果的なカウンターを繰り出せない。今日は、ポゼッションのブラジル、相手を押し込めるとそこからの連動したプレスでコロンビアを苦しめる。そんな今日のキーマンはフェルナンジーニョとオスカルである。
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フェルナンジーニョは常に2トップの間に顔を出していた。このポジショニングが絶妙。バルセロナブスケツを思い出すようであった。ボールを間で受けて、捌く。シンプルで効果的なプレーを繰り返す。
オスカルは相手のFWの横のスペースを使っていた。ドイツのクロースやシャビがよくやるポジショニングである。このスペースからボールを供給したり、仕掛けたりする。
ここを誰が見るんだ問題が発生して、コロンビアは困っていた。ここでもブラジルの巧みさが光る。パウリーニョは前線に上がっていくことでコロンビアボランチに牽制をかける。同様にマイコンサイドバックを釘付けにする。
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こうして、ボールを効果的に保持することに成功したブラジル。ここからの仕掛けは徹底した間受け狙いと。ネイマール、フッキの個人技である。パウリーニョが間でボールを受ける動きを何度もしていた。
ネイマールはフリーポジション。とにかく、ボールをフリーで貰うことで仕掛けていく。サイド攻撃はフッキとマイコンが担う。ボールを供給するのは、オスカルとフェルナンジーニョである。こうして、コロンビアからボールを取り上げ、支配するブラジル。先制点を早い時間帯で取れたことも大きく、安定したボールポゼッションからコロンビアを押し込み続けるのであった。


■ボールを取り返すこと
困ったコロンビアの打開策は、やはりロングボールになる。そこからの競り合いならば連動したプレスが可能だからだ。高い位置でなんとかボールをキープすることで、そこから攻撃構築を行う。そのため、ゴールキーパーの代わりに、サバタが蹴っているのが印象に残った。
まとめると、ガチンコではボールを運べない。カウンターも整備できていない。よって、ロングボールを使い、高い位置でボールを奪うもしくはキープしよう。そこからの攻撃構築で、奪われたら奪い返しにいこう。こんな形である。
ただし、ブラジルもそんなことは想定済みだ。そこのプレスをかわせば、ブラジルのカウンターが火を吹くことになる。ネイマールは、独りでゴール前までボールを運んでいってしまう能力の持ち主だ。フッキ、ネイマールフレッジでカウンター。もしくは、ボールを運んでポゼッション。ということでブラジルが試合を支配していく。


「コロンビアは攻撃構築からチームを作っているんだなと感じました。ボールを奪って縦に早い速攻よりも、ボールを奪ったらまず繋ぐ。相手陣地で奪われた際には、攻守の切り替えでボールを奪いにいく。無理だったら自陣に撤退します。苦しいときは、ロングボールを前線に預けて何とかしてもらう。このボールの繋ぎかたは、しっかりと整備されていると感じました。逆にディフェンス構築は微妙でした。ボールをどこで奪うかがチームとして徹底されていない。そのため、カウンターの鋭さはそんなになかった。ブラジルの狙いは、ボールを保持して、高い位置からプレッシングをかけることでした。そうすることで、コロンビアのボール保持を防ぐ狙いがあったのです。」

試合は僕が思っていたものとだいぶ違った。僕は、「ブラジルのディフェンスに対して、コロンビアがどうやってボールを持つか?」が焦点になると思っていたのだ。試合は予想とは違ったものになった。ブラジルのボール支配によって、あっさりと前提を覆されたのだ。試合は「ブラジルのボール支配に対して、コロンビアがどこでボールを奪うか?」になっていった。
コロンビアは後半2トップに変更。ブラジルのセンターバックにプレッシングをかけるように変更した。ブラジルに対して、ボールを保持されるのはマズイと感じたのだろう。だが、コロンビアのディフェンス構築が急に良くなるわけではない。カウンターも整備されていないままである。ハメス・ロドリゲスのアイディアに託された。












全てはオスカルとフェルナンジーニョのポジショニングで決まってしまったような試合であった。コロンビアはしっかりとしたディフェンスからカウンターを仕掛けるという整備をしていなかったのが痛い。また、コロンビアの戦い方に合わせてブラジルが変化したのが興味深かった。

さて次はネイマールなしでのドイツである。オスカルは本来のトップ下に戻るだろう。ネイマールがいなくなったことで、全員が守備に専念できる環境が整ったのは、不幸中の幸いか。代役は誰になるか?それともやり方を変えるのか?