ローマvsナポリ~オンデマンド~

オンデマンド企画は続く。ローマ首位で2位ナポリという形での首位攻防戦。第7節の試合である。コートジボワール戦に向けてジェルビーニョを見たい、トッティの0トップも楽しみという僕の期待を華麗に裏切る試合展開。両者はこの後数試合の離脱になってしまう。それでもローマは勝ち点を稼ぎ続ける。連続無敗記録なるものを打ち立てる。と同時に連続無失点記録も。間違ってたらごめん。あとは、綿密さにかける形で書いてしまっているので、図に不備がある。まあ、大体は伝わると思うのでそこは了承を得たい次第だ。
ローマは0トップにジェルビーニョと攻撃に注目が行ってしまいがちだが、非常に守備が硬いチームだ。来シーズンはCLにも出場が決まっていて非常に楽しみである。

そこで注目すべきはローマの守備体型だ。彼らの守備を支えているのは何か?

ポイントになりそうなのが今シーズン新規加入のジェルビーニョとストロートマンの二人になりそうだ。

ということで両者に注目しながら試合を眺めていくとしよう。


前回も触れたようにナポリは綺麗な4ー4ー2のゾーンの布陣をしく。ハーフラインを越えた当たりのプレスでローマを迎え撃つ。それに対してローマも教科書通りのプレー。ストロートマンとピャニッチでFWの横のスペースから組み立てる。デロッシはFW二人の間で受けるより、DFラインまで下りてきてボールを落ち着かせることが多かった。そこからのロングボールでのサイドチェンジ+パスの散らしでリズムを作る。どちらかと言えばボールを落ち着かせる役目っぽい。デロッシが苦しいときはストロートマンがその役割を引き受ける。どうやら低い位置でのプレーも苦手ではないようだ。それに対してピャニッチは仕掛けのパスとポジショニングで勝負する。

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序盤はローマが押しぎみで試合を進める。特筆すべきはナポリにシュートすら打たせていないという事実である。


■高い位置でのDF~ボールを奪われた時のポジショニング~
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ローマの攻撃の特徴としては、トッティが前線でタメを作って空いたスペースに選手が飛び込んでいく。ローマはその特徴をそのまま守備にも応用したのだ。前線からの激しいプレスに対してナポリはなかなかボールを上手く運べない。
攻撃面ではジェルビーニョが目立っていた。彼は左サイドに張り付く典型的なウイングではない。中央に、右サイドに飛び出していく。トッティを絡めたポストプレーからのジェルビーニョという形が非常に目立った。また、ジェルビーニョが好き勝手に動く分、スペースが空いてしまう。そこを埋めるのがストロートマン。中央のカバーリングとサイドのスペースを埋める判断が抜群に良かった。ストロートマンが奪ってからのショートカウンターもなかなかの迫力があった。
■押し込まれた際のDF~チャレンジ&カバー~
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自陣でのDF時には4ー4ー2で守備を行う。トッティジェルビーニョはカウンター要因で残しておく意味合いと、守備の免除という要素がある。4ー4で守備を固められたら、サイドからの崩しが基本的な流れになる。しかし、ジェルビーニョが残っているため、マッジョは攻撃参加をためらうのだった。そういう牽制的な意味合いでもジェルビーニョの果たす役割は大きかった。


ここまでは割りと、強いチームならやっていることで至って普通である。ローマの面白かったのは押し込まれた後の守備にある。注目ポイントはデロッシカバーリングの仕方とそれに呼応したプレッシングであった。

後半になると点を取らなければならないナポリは攻撃的になっていく。更にはジェルビーニョ交代というアクシデントもあり、マッジョを使ったサイド攻撃も活性化する。ということでローマが守ることになるのだが、ローマはここで面白いアイディアを見せることになる。
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デロッシがDFラインに下りてくることでサイドバックマイコンとドドはサイドのカジェホンとインシェーニに思いっきりプレスをかけるのであった。ゾーンディフェンス攻略の方法論として、相手のスライドディフェンスを利用する方法がある。相手がスライドすることで中央に風穴を開けるのだ。デロッシがDFラインに入ることで4ー4のブロックを維持したまま、ボールホルダーへのプレスが可能になったのだ。

これはバイタルエリアを死んでも開けたくないという意思表示だ。実にイタリアらしい。そして、この辺に失点が少ない理由があるのではないか?スライドによるズレを無くすための工夫がそこにはある。


■攻守のバランスの大切さ

ジェルビーニョトッティの守備を免除するためのシステムはレアルマドリードの4ー3ー3を彷彿とさせる。おそらく、彼は守備があんまり上手くない。そんな彼らの攻撃力を活かしつつ、守備の精度も上げることに成功していた。肝はストロートマンだろう。レアルでいうシャビ・アロンソの役割を忠実にこなしていた。


注目選手であるベナティアとピャニッチももっと見たかったが‥。それはまた次回のお楽しみということで。