W杯の探求・フランスvsナイジェリア

試合は時に、非論理的な展開を迎える。僕がやっているのは所詮、机上の空論なのだから。論理的に正しいことがピッチに起こるとは限らない。何故ならそのチームにできることと出来ないことがあるからだ。片方のチームは出来ることを最大限にやり、もう片方はやらなかった。そこには何の意味があるのだろうか。
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■ナイジェリアのサイド攻撃
フランスは攻撃時に4ー3ー3、守備時に4ー4ー2気味に変化する。その狙いはベンゼマの攻撃力を活かすことにある。ベンゼマの守備負担を減らしつつ、守備の形を維持する。彼を前に残しておくことで、カウンターの威力を保つわけだ。そういった守備が成り立つのは、マテュイーディの広い守備範囲とヴァルブエナの守備参加がポイントであった。ナイジェリアはその左サイドの守備を崩しにかかる。
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ナイジェリアの左サイドの攻撃の中心がオデムウィンギーである。彼を中心にサイドバックのオーバーラップで仕掛ける。教科書通りの数的優位の作り方だ。狙うはエヴラの裏のスペースだ。ちょっと待った!4ー4ー2のスライド対応はどうした?普通にスライドすれば対応出来るのではないかと。 それをさせない仕組みもしっかり準備していたナイジェリアであった。
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オデムウィンギーが中央にポジショニングすることでマテュイーディを迷わせる。もちろんサイドに行ってしまえば、オデムウィンギーがフリーでボールを受けることになる。それは避けたいマテュイーディは中央のポジションを守るのであった。もう1つ可能性があるのはポグバが守備をサボっていたからだろう。前回登場したシソッコに比べると守備より攻撃の色の強いポグバ。攻撃では確かに違いを作っていた。でも、中央をガッチリ守るというよりは飛び出していったりサイドにいくシーンが目立った。よって、キャバイエのカバーリングなんてするはずもない。こうしてフランスのスライドシステムは破綻を起こした。マテュイーディの理不尽な負担は大きくなる。こうして左サイドからの攻撃を受け続けるフランスであった。
また、それでもエヴラが対応すれば行けそうである。そこで更にムサが逆サイドから移動してくる。この役割はエメニケやモーゼスが担っていることもあった。
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当然、フランスにもカウンターのチャンスがある。左サイドは完全な切りあいの模様になっていく。フランスにも数多くのゴールチャンスがあった。しかし、ナイジェリアにも当選チャンスがある。こうした状況はフランスにとってはあまり好ましい展開とは言えない。計算できる展開ではないからだ。ナイジェリアは好調のエニュアマと心中するスタイル。実際、エニュアマが当たりまくっていたので、失点は0に押さえていた。


■フランスの救世主グリーズマン
ということでジルー→グリーズマンであっさりと守備の修正を施す。ベンゼマに比べてサイドの低い位置からボールを運ぶグリーズマンの登場により、左サイドを制圧。逆にナイジェリアを押し込むシーンが目立つ。




グリーズマンは攻撃時にはベンゼマと自由にポジションを入れ換えることで相手に混乱を与えていた。ベンゼマとの1・2やドリブルでのゲームメイクを行う。しかし、なかなかゴールを決めれない。そういうときは困ったときのセットプレー。ここまで散々当たっていたエニュアマだったが、最後に飛び出してしまった。調子が良さそうだったのが逆に仇となったか。


アフリカ勢のチーム構成がほとんど一緒で笑ってしまった。このチームもコートジボワールと同じで連動した守備と攻撃が出来ない。その影響がモロにチーム作りに反映されている。打ち合いになったら強い反面、じっくりボールを支配されたら太刀打ちできない弱点がある。ナイジェリアはそんな自分たちの長所と短所を尖らせてきた。今の自分たちにできることを最大限に伸ばした結果である。
無論、連動した守備と攻撃を手に入れたほうが強いのは言うまでもない。


解せないのは、フランス。スイス戦で見せた守備の固さは、スイス対策だったのか?リヒトシュタイナー対策と言われれば納得できる面もある。グリーズマンを投入するのも、やっとここか!というタイミングであった。左サイドの守備問題はそこまで放置されたままだったし。打ち合いでも勝ちきれる計算か自信か。まあ、答え合わせはドイツ戦で行われるだろう。